交通誘導の安全対策マニュアル|心得や必要な準備、注意点な…
警備員になるために必要な資格はないものの、特定の業務に携わるには資格がなければなりません。今回解説する「警備員指導教育責任者」も、業務上で必要となる資格の一つです。
警備員指導教育責任者は警備業法により定められた国家資格で、取得すれば警備員としてのスキルアップにつながります。
本記事では、この資格のメリットや取得方法を解説します。警備員として働きたい方や警備員としてスキルアップしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
警備会社は、警備員が業務を適正に行なえるよう、指導・教育をしなければなりません。この指導・教育を行なうのが「警備員指導教育責任者」であり、警備業界では「指教責(しきょうせき)」や「指導教(しどうきょう)」とも呼ばれています。
警備員指導教育責任者については、2005年11月21日に施行された改正警備業法により、各営業所の取り扱い業務区分ごとに配置するように定められました。
警備員指導教育責任者のおもな業務は、以下のとおりです。
なお、警備員教育には警備業務に関連する専門知識や技能が必要なため、警備員指導教育責任者または警備員指導教育責任者と同等の知識・経験があると国家公安委員会に認められた人しか行なうことができません。
次に、警備員指導教育責任者になる3つのメリットを紹介します。
警備員指導教育責任者は、警備会社にとって必要不可欠な存在です。そのため、資格を持たない警備員と比べて給与水準が上がる可能性が高いでしょう。会社によっては資格手当てが支給されるため、年収アップを目指せます。
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、施設警備員の平均年収は334.3万円、雑踏・交通誘導警備員の平均年収は311.7万円です。警備員指導教育責任者の資格を取得すれば管理職をキャリアの選択肢に入れられるため、これらの平均を大きく上回る年収を得られる可能性もあります。
また、社内の警備員を指導・教育する立場になると、通常の警備業務とは異なる達成感が得られるでしょう。特に指導・教育が好きな方にとっては、適性を活かした仕事ができるチャンスといえます。
参考:厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag「施設警備員」
参考:厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag「雑踏・交通誘導警備員」
警備員指導教育責任者の業務は、長く続けやすい点もメリットだといえます。
警察庁の「令和4年における警備業の概況」によると、2022年末時点の警備員の年齢別構成比は50~59歳が19.5%と最も多く、70歳以上が19.2%と次いでいます。この結果から、警備業界はミドル層やシニア層にとって活躍しやすい業界といえるでしょう。
警備員指導教育責任者は責任あるポジションとして、体を動かすことが少なくなるため、高齢になってからも警備会社で働きたいと考えている方は、この資格を取得しておくと良いかもしれません。
参考:警察庁生活安全局生活安全企画課「令和4年における警備業の概況」
資格の保有は、専門的な知識・技能を持つことの証明にもなります。警備会社の営業所の運営や新規設置するうえで、警備員指導教育責任者は不可欠なため、社内での評価が高まることはもちろん、転職する際のアピール材料としても役立つでしょう。
警備員指導教育責任者になるには、各都道府県の公安委員会が実施する「警備員指導教育責任者講習」を受けて修了考査に合格し、警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けなくてはなりません。
ここでは、警備員指導教育責任者講習の業務区分や受講資格、交付申請時に必要な書類などについて解説します。
警備員指導教育責任者には、警備業法が定める4つの業務区分ごとに資格が存在しています。そのため、資格を取得したい業務区分ごとに異なる講習を受けなくてはなりません。
上記のうち、1号業務の警備員指導教育責任者は「施設警備指導教育責任者」と呼ばれ、2号業務の交通誘導に関する警備員指導教育責任者は「交通誘導指導教育責任者」と呼ばれます。
なお、警備業務の区分については、以下の記事で詳しく解説しています。
警備員の職種は?警備会社が担う業務の種類から企業担当者向け情報まで解説
警備員指導教育責任者講習は、下記1~5のいずれかの受講資格に該当する人が受けられます。
なお、警備業務検定は6つの種類に分かれ、それぞれに1級と2級があります。
警備業務検定2級は誰でも受けられますが、1級は2級取得後に1年以上の当該区分の警備業務経験がなければ受検できません。
警備業務検定については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
警備業務検定とはどんな資格?取得方法や合格率、メリットなども解説
また上記の受講資格のとおり、警備業務検定を受けていなくても、最近5年間で受講する区分の業務経験が通算3年以上あれば、警備員指導教育責任者講習を受けられます。
そして、「警備員等の検定等に関する規則」が改正された2005年11月以前に検定に合格した人も、現行制度の検定有資格者と同様に受講可能です。
1~4号の業務ごとに分かれている警備員指導教育責任者講習は、さらに「新規取得講習」と「追加取得講習」の2種類に分かれます。
以下では、新規取得講習と追加取得講習の概要について解説します。
初めて警備員指導教育責任者になる人が受けるのは、新規取得講習です。講習時間・受講料は、業務区分によって異なります(2024年3月現在)。なお、表中の1時限は50分です。
業務区分を問わず、講習の最終日に修了考査が実施されます。合格基準は80%以上で、試験問題は40問、試験時間は100分です。
業務区分ごとの講習時間や受講料は以下のとおりです。
【新規取得講習】
業務区分 | 講習時間 | 受講料 |
1号警備(施設警備) | 47時限(7日間) | 4万7,000円 |
2号警備(雑踏・交通誘導警備) | 38時限(6日間) | 3万8,000円 |
3号警備(運搬警備) | 38時限(6日間) | 3万8,000円 |
4号警備(身辺警備) | 34時限(5日間) | 3万4,000円 |
追加取得講習は、受講する区分以外の講習を過去に修了した人が受ける講習で、新規取得講習よりも短い講習時間で済みます。
追加取得講習を申し込むには、受講する区分以外の「警備員指導教育責任者講習修了証明証」または「警備員指導教育責任者資格者証」が必要です。
新規取得講習と同様に、最終日には実施される修了考査に合格する必要があります。合格基準は80%以上で、問題数は14問、試験時間は35分です。
追加取得講習の業務区分ごとの講習時間、受講料は以下のとおりです。
【追加取得講習】
業務区分 | 講習時間 | 受講料 |
1号警備(施設警備) | 23時限(4日間) | 2万3,000円 |
2号警備(雑踏・交通誘導警備) | 14時限(3日間) | 1万4,000円 |
3号警備(運搬警備) | 14時限(3日間) | 1万4,000円 |
4号警備(身辺警備) | 10時限(2日間) | 1万円 |
警備員指導教育責任者の合格率は、70~90%程度とされています。都道府県によって多少の差はあるものの、全国的に見ても決して難度が高いわけではありません。
例えば、2022年における施設警備業務検定1級の合格率は約60%のため、合格率のみで見ると警備員指導教育責任者の資格のほうが取得しやすいと考えられます。
前述のとおり、新規取得講習と追加取得講習のどちらも講習の最終日に修了考査が実施されるため、講習の内容をしっかりと理解し、考査に臨むことが重要です。
また、資格取得後も警備員指導教育責任者となり、選任された場合は警備業務の新たな知識・情報の修得のため、公安委員会の「現任指導教育責任者講習(定期講習)」を3年に1回の頻度で受けなければなりません。
警備業法には、警備員指導教育責任者を「警備員指導教育責任者資格者証を交付されている者」から選任するという規定があります。そのため、講習修了後には資格者証の交付申請が必要です。申請先は住所地を管轄する警察署で、申請には手数料がかかります。
申請に必要な書類は以下のとおりです。
※上記3~7の書類は、交付申請日の3ヵ月以内に発行・作成されたものに限ります。
講習の日程や申し込みの具体的な方法は、警視庁や各都道府県警察のホームページ、または警備業協会が提供する情報をご確認ください。
各都道府県の警備員指導教育責任者講習ページリスト
警備員として働くうえで取得を目指せる国家資格は、指導教育責任者以外にもあります。警備員指導教育責任者講習の受講資格のなかでも紹介しましたが、警備業務ごとに6種類の警備業務検定があり、いずれも1級と2級があります。
例えば、施設警備業務検定では、機械警備業務および空港保全検査業務を除く警備業務で、警備にあたる施設の破壊等の事故発生を警戒し、事故の防止に向けて必要となる知識・能力の保有を証明できます。
警備業務検定は、公安委員会が直接行なう検定か、国家公安委員会の登録を受けた登録講習機関が実施する講習を受けることによって取得を目指せます。
これらの資格を取得することで、資格手当が付いたり、管理職への足がかりになったりするため、年収アップやキャリアアップにもつなげられるでしょう。
警備業務検定の受講方法について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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警備員指導教育責任者は、警備員の指導者として法律で定められており、警備会社の各営業所と業務区分ごとに配置が義務付けられています。警備員指導教育責任者になるためには、指定の講習を修了しなくてはなりません。
警備員指導教育責任者は、警備会社に必要不可欠な人材であることから、資格取得による収入アップが期待できます。また、業務の幅が広がり、仕事のやりがいも増すでしょう。
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