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空港での保安警備の仕事に興味のある方や、警備員としてのスキルアップについて考えている方のなかには、「空港保安警備業務検定」という資格を耳にしたことがあるという人もいるはず。
空港保安警備業務検定は、取得によって業務の幅が広がったり、給与アップにつながったりとさまざまなメリットがあります。
この記事では、空港保安警備業務検定について、取得するメリットや取得方法、試験内容について解説します。
目次
警備業に関連する資格には、3つの国家資格があります。そのなかのひとつである6種類の「警備業務検定」のひとつが空港保安警備業務検定です。
空港保安警備業務検定は、その名のとおり空港保安警備についての知識やスキルを持っているかどうかが問われる検定試験です。
空港の警備業務のなかには、警備業法により特定の場所で資格所有者を1人配置することが義務づけられていることもあり、需要の高い資格といえます。
ちなみに警備業務検定以外の警備業の国家資格は、「警備員教育指導責任者」と「機械警備業務管理者」です。
警備業務検定の内容や取得方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】警備業務検定とはどんな資格?取得方法や合格率、メリットなども解説
空港保安警備業務検定を役立てたいのなら、空港保安業務に携わるのが一番です。
ここでは、空港での保安警備の業務内容を詳しく解説します。
空港内の安全を守るために敷地内や運航施設、施設内などの警備を行なうのが警備業務です。
空港は空の玄関口ともいわれるとおり、世界中から大勢の人が訪れる場所です。そのため、利用者の安全を守り、移動や旅行を円滑にできるようサポートする必要があります。
施設内を巡回しながら、不審者の有無や置き引き・スリなどのトラブルの発生を警戒し警備します。
空港警備員は、ときに接客業務も仕事内容に含まれることがあります。
例えば迷子の子どもの保護や落とし物の捜索、搭乗までの手続きや対応に困っている人への声かけや誘導などです。
空港警備員は制服の着用が義務づけられているケースも少なくないため、利用者側からも声をかけやすい存在です。
困っている利用者を見つけたら手助けをし、気持ちよく空港を利用できるように導くのも大切な仕事の一つです。
飛行機に搭乗する人が危険物を持ち込むことのないよう、手荷物カウンターなどでの荷物検査業務を担うのも、空港警備員の業務の一つ。
刃物や一部のスプレー缶、アルコール度数が70%を超えるお酒など、飛行機内に持ち込めないものは国土交通省によって定められています。持ち込み禁止品と知らずに持ち込んでしまえば、火災などの重大な事故の原因にもなりかねません。
万が一飛行機という地上から遠い密室空間でトラブルや事故が起こらないようにするために荷物を検査する重要な業務です。
保安検査場などでは手荷物以外に、実際に乗客の身体に触れたり、金属探知モニターなどを駆使したりして危険物の有無を確認するのが一般的です。
空港保安警備業務検定には2級と1級があり、いずれの場合も取得することによって対応できる業務の幅が広がり、所属する警備会社によっては資格手当が受けられるなどのメリットがあります。
ここでは2級、1級それぞれのメリットについてより詳しく解説します。
空港警備業務では、手荷物検査場などエックス線透視装置がある現場において、1級取得者もしくは2級取得者を1人配置することが法令で定められています。
参考:警視庁「検定合格警備員の配置基準」
そのため、2級取得者も配置につけることから無資格よりも対応できる業務内容が広がります。
また、資格取得によって人材としての需要が高まるため、警備業界への就職・転職で有利に働きやすいというメリットもあります。
1級資格取得者は、大勢の警備員を統括するリーダーの立場で業務にあたることができるようになります。
自身の指示によって警備員全体のレベル向上やより高い安全性が実現できるのは魅力の一つでしょう。
前述のとおり、法令によって空港保安警備を行なう場所には1級取得者を1人配置しなければならないと定められています。
参考:警視庁「検定合格警備員の配置基準」
1級を取得しておくことで、この配置基準を満たせる人材として仕事が請けられ給料アップが見込めるほか、管理職に昇進できる可能性が高まりキャリアアップのチャンスもでてきます。
警備会社にとっても、有資格者がいることで空港保安警備を請け負うことができるというメリットがあるため、1級を取得しておくと重宝されます。
空港保安警備業務検定の資格を取得しておくと、待遇面でのメリットが大きいことがわかりました。
空港保安警備業務検定を取得するに2つの方法があります。それぞれを解説します。
一つ目は、「空港保安警備教育システム」という企業が行なっている特別講習を受講する方法です。
数日間の講習を受けたあと、修了考査に合格することで資格が取得できます。特別講習は毎月実施されています。申し込み期間や申し込み方法などについてはホームページを確認してください。
参考:空港保安警備教育システム
2級の場合は、警備会社勤務者を対象にしているものと一般向けの2種類の講習があり、検定試験を受けるよりも未経験者にとって合格しやすい傾向があります。
もし修了考査に落ちてしまっても、1年以内に1度であれば再考査を受けられるのも特徴です。
講習の受講料は1級・2級ともに55,000円(税込)で、再考査受験料は11,880円(税込)です。
もうひとつは、特別講習を受講せず、年1回の検定試験を受検し合格する方法で、「直接検定」とも呼ばれます。
学科・実技両方の試験に合格することで資格の取得が可能です。試験日時や内容は警視庁のホームページなどで確認できます。
年に1度しか受検できず1次申し込みは電話かつ30名の先着順となっているため、注意が必要です。
申し込みに通ったら、下記の必要書類と受験料の支払いを指定の場所で行ないます。
参考:警視庁「公安委員会が実施する直接検定の申し込み受付」
1級の場合は上記に加えて、2級合格後1年以上警備業務に従事していたことがわかる営業所所属証明書、1級検定受験資格認定書の写しが必要です。
参考:警視庁「検定合格者審査(学科・実技試験審査)の実施予定標(令和6年度)」
空港保安警備業務検定を受験しようとお考えの方に、受検資格や試験内容、難易度などを1級・2級それぞれご紹介します。
まずは空港保安警備業務検定2級の受験資格、試験内容、難易度を解説します。
2級は特別講習も直接検定も特別な受験資格はないため、誰でも自由に受験ができます。空港警備に限らず、施設警備などほかの警備業務に従事している人でも受検は可能です。
一般人でも申し込めば受験はできますが、警備業務の経験がある人のほうが合格できる可能性は高まります。
前述のとおり、学科試験、実技試験の両方を受験し合格する必要があります。
学科試験の試験内容は以下のとおりです。
実技試験については、上記の内容について試験管を前に所定のシナリオに沿って実技ができているかチェックされます。
合格率は公表されていませんが、合格基準は学科・実技ともに90点以上で合格と定められています。学科の場合、20問中18問正解する必要があるため、独学にはかなりの勉強が必要です。
つづいて空港保安警備業務検定1級の受験資格、試験内容、難易度を解説します。
1級の受験資格は、2級を取得したのち1年以上空港警備業務に従事した実績があることです。
交通誘導警備などほかの警備業務検定に合格していても、空港保安警備業務検定2級に合格していなければ受験できないので注意しましょう。
特別講習を受ける場合も、いきなり1級の講習から受けることはできず、上記の受験と同様の資格を満たしている必要があります。
2級の内容に加えて、1級では「空港保安警備の管理」が追加されます。
さらに2級と同様の内容も求められるレベルが「高度に専門的な知識」に上がるのが特徴です。
2級と同じく合格率などは公表されていません。合格基準は2級と同様の90%以上です。
求められる能力のレベルが上がっているため、適宜問題集を活用するなどして苦手分野を作らないように学習を進めることが大切です。
空の玄関口ともいわれ、世界中から大勢の人が集まる空港では、事故やトラブルの発生を防ぐために警備員の力が求められます。
空港保安警備業務検定は、空港の安全を守るために必要なスキルを持っていると証明できる資格です。
資格取得をすることで業務の幅が広がり、資格手当などによる給与アップも期待できるため、空港警備に携わりたいという方にはメリットがたくさんあります。警備会社にとっても貴重な人材となれる魅力的な資格といえるでしょう。
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