警備の豆知識
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交通誘導警備員とは?業務や資格、企業担当者向け情報まで幅広く解説

交通誘導警備員とは01

商業施設や道路、工事現場などで歩行者や車両を誘導する警備員は「交通誘導警備員」と呼ばれ、冷静に状況を判断して人々の安全を守る重要な役割を担っています。

日常よく見かける交通誘導警備員ですが、その業務が「警備業法」という法律に則って実施されていることを知らない方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では法律との関係も含めて、交通誘導警備員のおもな業務や、交通誘導警備員として働きたい方におすすめの資格などを解説します。併せて、交通誘導を依頼する警備会社を選ぶ際のポイントも見ていきましょう。

交通誘導とは?

交通誘導警備とは、道路工事現場、商業施設など事故の危険や混雑が予想される場所で、交通渋滞や事故の発生を未然に防ぐために人や車両を誘導する業務です。

交通誘導警備は、雑踏警備と併せて警備業法第2条第1項第2号で定められ、ともに「2号業務」と呼ばれます。
警備業法で、2号業務の内容は次のように規定されています。

人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
出典:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」
警備員は雇用形態に関わらず、警備業法で定められた教育を受けることが義務付けられています。新任の交通誘導警備員が現場に出るためには、新任教育として、警備業務全般に関する基本教育と2号業務(交通誘導警備・雑踏警備)を対象とする業務別教育の受講が必要です。すでに業務にあたっている警備員も、警備の知識・技能を維持向上させるため、毎年教育を受けています。
出典:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」

※SPD株式会社では交通誘導の一部警備のみ(駐車場誘導やイベントに関わる交通誘導警備並びに雑踏警備業務)を取り扱っております。

交通誘導警備員と交通整理員の違い

道路で人や車を誘導して安全を図る仕事は、交通誘導警備員だけでなく「交通整理員」も行なっています。

両者は制服も似ているため、一見違いがわかりにくいかもしれませんが、交通整理員とは警察官や警察職員である交通巡視員のことです。交通整理は公権力の行使にあたり、交通整理員の指示には道路交通法第6条に基づく法的拘束力があります。

交通整理は、災害・停電で信号機が機能しない場合や、事件や事故のために信号機に従うべきではない場合に実施されることが一般的です。

一方、交通誘導警備員は企業やイベント主催者などの依頼により、警備会社の職員が行ないます。交通誘導警備員が誘導のために送る合図に、法的拘束力はありません。交通誘導警備員の業務は、あくまで安全のための協力要請です。

参考:e-Gov法令検索「道路交通法」

交通誘導警備員のおもな業務

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交通誘導を行なう4つの場面と、それぞれの業務内容について解説します。

①道路での交通誘導

道路工事の際に、車両や歩行者の交通誘導をする業務です。通行止めの区間がある場合は進入禁止の看板を設置し、進入する車両を停止させて迂回路を案内します。

片側車線通行止めの場合は、現場の前後で両車線から進入してくる車両を交互に停止させ、片側ずつ進行を促します。歩行者にも目配りし、通行経路を案内しなければなりません。

複数車線がある幹線道路で、進行方向に工事現場があることを通行車両に知らせて車線変更を促す現場もあります。

誘導にあたっては正確・迅速に状況を判断し、明確な指示を出すことが重要です。

②商業施設での案内誘導

ショッピングモールや大型スーパーなどの駐車場で、必要に応じて車両に停止を促し、自転車や歩行者、車両どうしの安全を守る業務です。

駐車場内だけでなく車両出入口でも、駐車場に入る車両が歩行者などを妨害しないよう、停止と発車の合図をします。

また、入場した車両を空いている駐車スペースへ誘導すること、満車時に入場制限して場内の混乱を回避することなども重要な業務です。

万が一、場内や周辺で事故が発生した場合には、いち早く発見して通報などの適切な対応を行ないます。

③イベント会場での雑踏整理

大規模なイベント会場やその周辺では人や車両が多く集まるため、事故発生のリスクが高まります。イベント会場など雑踏での交通誘導は、会場内や会場周辺で歩行者などの動きを把握して安全を確保しつつ、来場する車両を駐車場へ誘導する業務です。

道路の渋滞など周辺交通への悪影響を最小限にとどめるため、効率的な動線を確保してスムーズに誘導することが求められます。

事故発生時には的確な処理をして、事故の拡大を防止しなければなりません。また、事件を防止するために、関係者の車両チェックも行ないます。

イベントに参加する方々の楽しみに水を差さないよう、配慮して業務を行なうことが必要です。

④工事現場の出入口や工事の敷地内で、工事車両を誘導する業務

工事現場の出入口では、歩道を通る歩行者や道路を通行する一般車両の進行を優先し、工事車両を現場に出入りさせます。一般車両や歩行者の進行を促す場合には頭上の安全も確認するなど、道路以外への気配りも必要です。

敷地内で行なうのは、人や障害物がないことを確認して大型車両をバックさせるなど、工事の安全に資する業務です。

また、工事に関係ない人や車両が工事現場に進入しないよう制止し、進入した場合に安全を図りながら立ち退かせるといった業務も担います。

※建築・土木等に関連する交通誘導はSPD株式会社では取り扱っておりません。

交通誘導警備員におすすめの資格

交通誘導警備は社会的責任のある仕事ですが、新任教育が法律で義務付けられているため、未経験でも資格がなくても就業できます。

ただし、現場によっては、資格を有する警備員を配置しなければなりません。その資格とは、交通誘導警備員の国家資格である「交通誘導警備業務」の1級または2級です。検定合格証明書を交付された時点で有資格者となります。

2021年12月末で、交通誘導警備業務の合格証明書を保有している人の数は、全国で1級5,541人、2級7万8,897人です。

交通誘導警備業務検定に合格し、有資格者の配置が必須の現場を任される立場になるのは、大きなステップアップといえるでしょう。また、警備のスキルが向上し、自信を持って業務にあたれるようになるという点でも、資格取得はおすすめです。

資格取得の方法には、都道府県公安委員会が実施する検定を受ける方法と、国家公安委員会の登録を受けた講習機関が行なう講習会を受けて修了考査に合格する方法があります。

また、1級検定を受験もしくは受講するには、2級検定合格証明書を保有し、交通誘導警備業務に1年以上従事することが必要です。一方、2級検定にはそのような条件はありません。

参考: 警察庁「令和3年における警備業の概況」
参考:一般社団法人警備員特別講習事業センター「検定制度」

 交通誘導警備員の年収

交通誘導警備員とは03

「求人ボックス 給料ナビ」(2022年9月2日現在)によると、正社員として働く交通誘導警備員の平均年収は約340万円で、民間事業所に勤める給与所得者の平均年収433万円(※)と比較すると低い傾向にあります。

しかし、交通誘導警備業務検定の有資格者になれば職務範囲が広がり、キャリアアップ、年収アップが期待できるでしょう。

また、規模の大きい警備会社では給与水準が高い傾向があるため、就職先を選ぶ際に一つの目安にできます。

※2020年を通して給与所得者として働いた人の平均給与(2020年12月31日現在)

出所:国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
出所:「求人ボックス 給料ナビ」

交通誘導警備員に向いている人の特徴

交通誘導警備員には、以下の特徴を備える人が向いているといわれています。

  • 状況を瞬時に理解し、対処方法を決定するために欠かせない「冷静な判断力」
  • 正確な情報伝達によって警備員どうしの連携および工事担当者との連携をとるためと、誘導する相手に快く協力してもらうために必要な「コミュニケーション力」
  • 基本に忠実に、自分に与えられた役割をきっちり果たす「誠実さ」
  • 現場の交通量が多くても少なくても、集中力を維持して警備を行なう「忍耐力」
  • 屋外での立ち仕事でも疲れにくく、集中力を落とさず業務を遂行できる「体力」

警備サービスの質は人に依存する部分が大きいため、警備員として求められる資質・能力は多岐にわたっています。

【企業担当者向け】交通誘導を警備会社に依頼する際にチェックすべきこと

交通誘導警備員とは04

続いて、交通誘導警備の依頼を考えている企業担当者の方に、警備会社を選ぶ際のチェックポイントをお伝えします。

料金

警備の料金は、警備会社や業務内容などによって異なります。交通誘導の場合、一般的な業務内容で平日昼間8時間の依頼なら、1人当たり1万6,000円~2万3,000円が目安です。土・日・祝日や夜間、有資格者を配置する場合はこれよりも高くなる傾向にあります。

警備を依頼する際には、見積金額が相場とかけ離れた金額でないかを確認しましょう。

ただし、警備会社を安さだけで選ぶと、当日になって急に「警備に行けない」と言われるなどのトラブルが起こりうるため、その他の要件もチェックすることが大切です。

天候などの影響で中止になる可能性がある場合は、キャンセル料についても確認しておきましょう。

警備会社の料金や相場については、以下の記事で詳しく解説しています。

「警備会社の料金相場は?料金の変動要因や警備会社の選び方も解説」

警備員数や有資格者数

単発ではなく、長期契約で交通誘導を依頼したい場合には、在籍している警備員数が多い警備会社を選ぶことをおすすめします。人数が少ない会社に依頼すると、警備員の体調不良や急な事情で、必要な人員が確保できなくなる可能性があるためです。

また、交通誘導警備業務の資格を保有している警備員の在籍人数にも着目しましょう。有資格者に警備を依頼するとコストは高くなりますが、法律に定められた現場では必ず配置しなければなりません。

交通誘導警備においては、高速自動車国道や自動車専用道路、都道府県公安委員会に指定された道路で、有資格者を1人以上配置することが「警備員等の検定等に関する規則」第2条に定められています。

参考:e-Gov法令検索「警備員等の検定等に関する規則」

細かい要望への対応可否

細かい要望がある場合はあらかじめ相談し、要望に対応できる警備会社を選びましょう。

細かい要望とは、夜勤で対応してほしい、急な日程変更が起こりうる警備に対応してほしい、交通誘導業務終了時に警備以外の業務をしてほしいといったことです。

例えば、片付けの手伝いなどの付帯業務を依頼したい場合は、業務範囲に含めることが可能か事前に相談し、有償扱いかどうかも含めて確認しておく必要があります。

また、どのような警備を依頼したいか決まっていない場合には、警備のプロとして警備体制の設計から相談に乗ってくれる会社を選ぶとよいでしょう。

交通誘導警備員として働く・交通誘導を依頼するなら「SPD株式会社」

交通誘導警備員とは05

SPD株式会社は、埼玉県さいたま市に本社を置く、従業員数2,309名(2022年3月31日時点)の警備会社です。「安心安全な毎日を提供することで、楽しく夢のある社会づくりに貢献する」を使命とし、2020年に創立50年を迎えました。

ここでは、交通誘導警備員として働きたい方や、交通誘導を依頼したいと考えている企業担当者の方に向けて、SPD株式会社を紹介します。

交通誘導警備員として働きたい方へ

SPD株式会社では、正社員、契約社員、パート、アルバイトなど多様な働き方の交通誘導警備員を、年齢制限を設けず幅広く募集しています。事業所は埼玉、東京、神奈川、千葉にあり、現在大阪営業所を準備中です(2022年10月1日現在)。

SPD株式会社では、大きく分けて「交通誘導を含む常駐警備」と「イベント時の交通誘導」の2つの警備業務を行なっています。

警備業務は人々の安心安全を守る、誇り高い仕事です。SPD株式会社で、信頼できる仲間たちと一緒に働いてみませんか。

以下のスタッフ紹介記事で、SPD株式会社をさらに知ることができます。

「『世界を旅する趣味』から『世界を守る仕事』へ。SPDと出会い、人生が動いた。」

SPD株式会社の採用情報はこちら

交通誘導を依頼したい企業担当者の方へ

警備業界では、警備員数100人未満の業者が全体の約90%を占めていますが、SPD株式会社には十分な人数の警備員が在籍しています。必要に応じて、警備関連の各種資格保有者を配置可能です。

2002年のサッカーW杯埼玉会場警備、2019年のラグビーワールドカップ熊谷会場警備など、大きなイベントの警備実績も多数あります。

SPD株式会社は、お客様が求める警備ニーズを調査・分析し、長年のノウハウを活かして最適な警備プランの提案が可能です。交通誘導警備など、警備の依頼をお考えの企業担当者の方は、お電話やお問い合わせ・資料請求フォームからお気軽にご相談ください。

「具体的な依頼内容は決まっていないが、まずはいろいろと相談してみたい」という方からのご連絡もお待ちしています。

SPD株式会社へのお問い合わせ・資料請求はこちら

まとめ

交通誘導警備は警備業法に則って実施される業務で、雑踏警備とともに「2号業務」と呼ばれています。交通誘導警備業務は、安全を確保するために人や車両を誘導する、社会的責任のある仕事です。

交通誘導警備員として働きたい方へ

職に就くための資格は不要ですが、職務の幅を広げるための資格としては「交通誘導警備業務検定」があります。資格取得によってキャリアアップも期待できます。

交通誘導を依頼したい企業担当者の方へ

交通誘導を警備会社に依頼する際には料金だけでなく、警備員数や有資格者数、細かい要望への対応可否も確認のうえ依頼先を検討しましょう。

SPD株式会社は長年の業務経験を通じてノウハウを蓄積した警備会社です。警備のサービスは人がつくり出すものと考え、問題解決力のある人財の育成に力を注いでいます。

交通誘導警備員として働きたい方、交通誘導警備のニーズがある企業担当者の方、SPD株式会社にぜひご連絡ください。

SPDの交通誘導・交通警備サービスはこちらからご覧ください